COLUMN 02 今蘇る昔の縮緬と友禅「大正友禅」

大正時代から昭和初期にかけて、新しいデザイン意匠の流行や化学染料の普及などにより、型友禅による友禅染のきものや裏地が大量生産され、きものの大衆化を促進しました。同時に、生地自体も型友禅に最適な「錦紗織」や「古浜ちりめん」「絽ちりめん」など、新しいちりめん素材が生み出され型友禅の全盛期を迎えます。とくに長襦袢や肩裏は薄地の「錦紗織」やしぼ立ちの高い「古浜ちりめん」の流行により、今では想像もつかないほどの華やかでおしゃれな作品が次々と生み出され、きものの裏地の黄金時代となります。

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戦後、昭和25年の絹製品の統制解除とともの型友禅は再び復興の兆しを見せますが、多品種少量生産に時代が変化するとともに、手描友禅が主流となり、戦前1万件を越えた友禅工場はいまでは270軒近くに減少し、特に長襦袢や肩裏の型友禅工場はわずか数軒になり、簡単なボカシ染めや白地のものが主流となって、戦前のような華やかで裏地のおしゃれを楽しめる長襦袢は見られなくなってしまいました。

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当「大正友禅」の長襦袢と肩裏は、大正時代と同じ手法により織り上げた昔のちりめん素材に、京の町家に大切に保存されてきた大正時代の友禅長襦袢の本絵を基に現代に復刻して、きものの裏地が美しく華やかなりし頃の想いを現代に蘇らせ、長襦袢や肩裏のおしゃれ心を楽しんでいただこうとするものです。残り少なくなった伝統的型友禅の本物の色合いと懐かしいちりめんの風合いを感じていただければ幸いです。

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